女たちの迷宮へようこそ

オムニバス映画 / ラビリンシア

第一話 「SWALLOW」 第二話「HANA」 第三話「告解」
an Anthology of Short Films by Mai Nakanishi
全3話/総尺:約50分/配給:インターフィルム/G

2025815日(金)より
テアトル新宿、テアトル梅田、UPLINK京都、他
全国順次公開

Introduction

ボーダーレスな<国境を超えた>感性、新時代のジャンル・ムービー

本作(短編三作)を手掛けたのは新鋭監督、中西舞。
彼女は企画コンペ等で認められ、本作『LABYRINTHIA/ラビリンシア』の第一話『SWALLOW』、第二話『HANA』を新人監督ながらも『哭声/コクソン』のサウンドテザインを手掛けるMonofoley Sound Worksや『哭悲/THE SADNESS』の特殊メイクチームなど、アジア各国の実力派スタッフを率いて撮影している、まさに驚きの存在だ。
米、バラエティ誌では注目の日本人新鋭監督10人にも選ばれている。

この秀でた才能と行動力は、本作三話目の『告解』でも発揮され、主演:和田光沙、撮影監督:芦澤明子など、日本での監督デビューとは思えぬ陣容を整えての撮影となっている。
『SWALLOW』はタンペレ映画祭で受賞他、『HANA』はPortland Horror Film Festival最優秀作品賞他、世界中で受賞を果たし、『告解』もコンペ等に選ばれ注目を集めている。

監督の最大の特徴はジャンル映画を志している点、女性監督としては、非常に珍しく貴重な存在で、短編オムニバス『LABYRINTHIA/ラビリンシア』は本年度、最注目の作品である。

Story

世界が認めた驚きの心理スリラー・オムニバス!
「美と若さへの狂気」「歪んだ親子の絆」「終わりなき不安」
日常に潜む闇が、あなたをゆっくりと侵食する。

=第一話=

永遠の若さ、その代償は──。

タンペレ映画際Special Mention、CINEMAZ International Film Festival 最優秀監督賞、 ハワイ国際映画祭、高雄映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、 富川ファンタスティック映画祭 他

『SWALLOW』

『SWALLOW』

原題:喰之女/2021年制作/22分/中国語/スコープ/ステレオ/台湾 ・日本合作
出演:韓寧(Netflix『返校』)、劉黛瑩(『先生、本当の恋って?』)、陳雪甄(『黙視録』)
監督・脚本・編集:中西舞
プロデューサー:郭柏村、沈樺、中西舞
撮影監督:衛子揚
音楽:ユン・チェヨン(Netflix『SKYキャッスル~上流階級の妻たち』)
サウンドデザイン:Monofoley Sound Works(『ディヴァイン・フューリー/使者』『哭声/コクソン』)
特殊メイク:IF SFX Art Maker(『哭悲/THE SADNESS』)

【あらすじ】
女優として成功する事に全てを注ぐ雪蘭(シュラン)。ある日彼女は女優仲間の咪咪(ミミ)から招待制の晩餐会に誘われる。10年前から変わらない咪咪の若さと美貌の秘密は、晩餐会で出される料理に隠されていると期待を膨らませる雪蘭だったが、そこで待ち受ける狂気の渦に彼女は呑み込まれて行くー。

=第二話=

あるベビーシッターの恐怖の体験・・・

シッチェス・ファンタスティック映画祭、Monsters of Film Sweden 最優秀短編賞、 Portland Horror Film Festival最優秀作品賞、Fright Fest、大阪アジアン映画祭 他

『HANA』

『HANA』

原題:하나/2018年制作/13分/韓国語/ビスタ/ステレオ/韓国・日本合作
出演:イ・チョンビ、チョン・ヒジン、キム・ドウン
監督・脚本・編集・美術:中西舞
プロデューサー:イ・ジュンサン、中西舞
撮影監督:イ・ジュンサン
音楽:ユン・チェヨン(Netflix『SKYキャッスル~上流階級の妻たち』)
サウンドデザイン:Monofoley Sound Works(『ディヴァイン・フューリー/使者』『哭声/コクソン』)

【あらすじ】
ベビーシッターの面接を受けにある高級マンションを訪れた大学生のスジン。彼女を待っていたのは4歳になる娘ハナの母親だった。威圧的な態度で面接を進める母親に圧倒されるスジンだったが即採用となり、その日からベビーシッターをする事に。母親が外出し、スジンはハナが昼寝から目覚めるのを待つが、彼女の周りで次々と不思議な現象が起こり始める。

=第三話=

その懺悔は、聞いてはいけないものだった——。

ニッポン・コネクション、 他

『告解』

『告解』

英語タイトル:CONFESSION/2025年制作/15分/日本語/ビスタ/5.1ch/日本
出演:和田光沙(『岬の兄妹』)、水澤紳吾(『室町無頼』『二人静か』)
監督・脚本・編集・美術:中西舞
プロデューサー:森田一人、中西舞
撮影監督:芦澤明子(『春画先生』『レジェンド&バタフライ』)
音響:弥栄裕樹(『化け猫 あんずちゃん』)

【あらすじ】
教会で静かに祈りを捧げる神父の元に訪れる一人の若い女性。自身の犯した罪を告白したいと言う女性の願いを聞き入れる神父だったが、穏やかな世界を根底から揺るがす不穏な真実が神父を待ち受けていた。

Cast ( 『告解』 )

和田光沙

1983年、東京都中野区生まれ。趣味・農作業、銭湯巡り。
2019年公開映画『岬の兄妹』で、自閉症の妹・真理子を演じ、第34回高崎映画賞で最優秀新進女優賞を受賞。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023では国内コンペティション部門の審査員を務めた。
代表作に『菊とギロチン』『パラダイス・ロスト』『蒼のざらざら』『由宇子の天秤』『誰かの花』『冬薔薇』『やまぶき』『映画(窒息)』『国宝』などがある。

水澤紳吾 

1976年、宮城県仙台市生まれ。
映画出演作に『SR サイタマノラッパー』(2009)、『黄金を抱いて翔べ』(2012)、『ぼっちゃん』(2013)、『川下さんは何度もやってくる』(2014)、『龍三と七人の子分たち』(2015)、『溺れるナイフ』(2016)、『まんが島』(2017)、『愛しのノラ』(2018)、『花束みたいな恋をした』(2021)、『鍵』(2022)、『二人静か』(2023)、『四月になれば彼女は』(2024)、『ラストマイル』(2024)、『室町無頼』(2025)ほか多数。

Staff

監督中西 舞(「SWALLOW」「HANA」「告解」)

東京生まれ、これまでに5カ国に暮らす。
韓国で撮影した初監督作『HANA』(2018)は、シッチェス映画祭をはじめ、世界30以上の映画祭に入選・受賞。第2作『SWALLOW』(2021)では、Netflixドラマ『返校』主演の韓寧を迎え、全編を台湾で撮影した。

続く『BORDER』(2023)は、再び韓国で撮影。
国内外の映画祭での上映・受賞に加え、北米最大のホラー専門チャンネルShudderにて北米・英国・豪州で配信され、MórbidoTVを通じて南米全土でも放送された。

最新作『告解』(2025)を含む短編作品集は、2025年夏にテアトル系列ほかで公開予定。これまでに、釜山国際映画祭 Asian Film Academy、タレンツ・トーキョー、サンダンス・インスティテュート/NHK賞の2024年度推薦作家に選出。

現在、文化庁による次世代クリエイター支援プログラム「フィルム・フロンティア」第1期フェローとして、長編デビュー作の企画を開発中。

Statement:

幼い頃、ホラーの魅力に初めて触れた瞬間がありました。小学校低学年のとき、父のVHSで観たヒッチコック監督の『サイコ』に心を奪われ、その衝撃は今も鮮明に残っています。同級生たちを家に招いて鑑賞会を開き、彼らの悲鳴を聞きながら密かに喜んでいたあの瞬間こそ、ホラーというジャンルが私の創作の核となった始まりでした。

私がホラー映画に惹かれるのは、平穏な日常の陰に潜む恐怖や不安を映し出せるからです。一見穏やかに見える日常の裏側にも、言葉にできない恐れや抑え込まれた声がひそんでいます。ホラーというジャンルは、そうした沈黙を打ち破り、見えないものや封じ込められた叫びをあえて浮き彫りにし、強く響かせる力を持っていると私は感じています。
ジャンル映画、なかでもホラーという“視点”を通して作品をつくるという行為は、私たちが普段つい目をそらしてしまう現実や、社会で見過ごされがちな感情やテーマに光を当て、それを語るための一種の闘いだと考えています。
『SWALLOW』では、女優たちの競争を通じて浮かび上がる弱肉強食の世界、美と若さに囚われた執着心、そして終わりなき成功と名誉への欲望の連鎖を描いています。『HANA』では、精神的にも肉体的にも交わることのできない、切なく歪んだ親子関係と、その陰に潜む深い絶望を静かに見つめました。そして『告解』では、社会の中でこぼれ落ちた弱者が、逃げ場のない不安と消えぬ過去に呑み込まれていく様子を描きながら、その終わりなき悲しみの螺旋をすくい上げています。

ホラーという“視点”は、単に恐怖を与えるだけでなく、私たちが普段は目をそらしがちな真実をそっと照らし、新たな理解や共感を生み出す力があると感じています。だからこそ私は、このジャンルの持つ可能性を信じて、誰もが抱える内なる闇に静かに光を当て続けたいと考えています。そして同時に、ジャンルが秘める力を信じながらも、その創作の根底には、みんなをちょっと怖がらせて楽しみたいという、あの小学生の頃の私が今も変わらずひょっこり顔を出して、こっそり笑っている気がします。

監督 中西 舞

Trailer

Comment

細部への美術のこだわりと緊張感のある演出に、深く共感しました。ホラー映画は刺激を追求しがちなものですが、中西監督の作品は、私たちを繊細で心地よい不穏な雰囲気に包んでくれます。
上田風子(画家)
三話三様、それぞれ異なる余韻があり、どれも心をざわつかせる。
「イヤミス」好きの方には特に刺さるスリラーオムニバス。
どこか他人事とは思えない感情の揺らぎを体感し、終わった後もじんわりと残る。
新時代の才能、作家性の魅力が光っていた。
東 紗友美(映画ソムリエ)
オムニバス3作で、計50分か、気軽に見れるなと侮ったら、トンデモナイ。
濃縮怪奇絵巻の衝撃は、見終えて、しばらくすると、身体中に、じわじわと毒がまわってくる。即効性ではなく、遅効性の劇薬だ。
巷に氾濫するホラ―に、飽き足らなくなった方にこそ、お薦めしたい、非日常への扉を開ける体験でした。
野村正昭(映画評論家)
殺人鬼もゾンビも出ない。血しぶきもなければ、あからさまな暴力もない。
しかし、とてつもない恐怖感に包まれるのは何故なのだ?(しかも、どこか切ない……)一番怖いのは人の心そのものか?
こんなホラー映画を観たかった。中西舞、何と恐ろしい監督の登場か!
増當竜也(映画文筆)

Theater

栃木
小山シネマロブレ8/15 (金)~
東京
テアトル新宿8/15 (金)~
静岡
静岡シネ・ギャラリー9/5 (金)~
愛知
シネマスコーレ8/23 (土)~
大阪
テアトル梅田8/15 (金)~
京都
UPLINK京都8/15 (金)~